ドラえもん探究ワールド ねむりと夢のふしぎ

本書を読んで「めざせ！ねむりの天才」

ドラえもんの寝床といえば、押し入れの中！のび太は、わずか0.93秒でねむれる「ねむりの天才」と言われています。 睡眠や夢にまつわるひみつ道具が出てくる「ドラえもん」のまんがを読みながら、「睡眠科学」について学べる児童書となっています。

良いねむりは体と脳と、心も健やかに！

本書は、ねむっている間の体や脳のはたらきなどを科学的に解説し、成長期にいる子どもたちにとって、睡眠がいかに大切かを 伝える本です。 とくに重要なのは、西野が｢黄金の９０分｣ と呼んでいる、ねむり始めの時間です。ここで深くぐっすりねむれると、骨や筋肉の成長がうながされ、免疫力もアップ。 脳内では情報整理が行われ、大事な記憶はしっかり定着、イヤな記憶はすっきり洗い流してくれます。 「ねむりの天才」のび太の明るさや立ち直りの速さは、質の良いねむりをとれているおかげかもしれません。

本書概要

睡眠や夢にまつわる素朴な疑問や占い、近未来の人工冬眠の話なども…！幅広く紹介しています。
・びっくり！動物たちの睡眠くらべ
・体内時計のふしぎ
・レム睡眠とノンレム睡眠って？
・成長ホルモンと自律神経の仕組み
・ねむりの病気、いびき、おねしょ、悪夢の原因とは？
・偉人＆有名人のねむりエピソード
・夢うらない
・世界の夢伝説
・冬眠や夏眠って？ ？…など

「ドラえもん 」まんがは12本収録

「ねむりの天才のび太」「じゃま者をねむらせろ！」「ねむれぬ夜に砂男」「出木杉グッスリ作戦」「ゆめのチャンネル」など。 てんとう虫コミックス未収録作品の「夜の世界の王さまだ！」も掲載されています。

監修者 西野精治 コメント

『ドラえもん』ほど、世界中の子供たちに長く愛されているコミックは知りません。私も昔から、のび太が大変な寝ぼすけであったことはもちろん、ドラえもんがなぜか押し入れで寝起きしていることも知っていました。またそれ以上に、夢や、睡眠の話題を取り入れた話も多かったように思います。そういった背景もあり、今回、『ドラえもん探究ワールド　眠りと夢のふしぎ』を監修させていただくことができ、非常に嬉しく光栄に思っています。
私は1987年に渡米して睡眠研究を行うことになりました。今では睡眠研究者は沢山いて、世界中で日夜睡眠の研究を行っていますが、70年前の1950年代にレム睡眠が発見されるまで、睡眠は魅力のある研究分野ではありませんでした。睡眠には眠気や疲れをとる以外に重要な役割がないと考えられていたからです。ところが、レム睡眠の発見により、レム睡眠中に夢をみることが多く、記憶の整理や定着を行っていることがわかり、多くの研究者が睡眠に関心を寄せるようになりました。
本文で何度も強調していますように、特に小児の睡眠は、脳の発達にもかかわり、大人の睡眠以上に大事であることがわかっています。世間の睡眠に対する関心も近年高まりつつありますが、特に日本人の睡眠時間は、年々短くなり、大人も子どももレム睡眠が発見された70年前に頃に比べて、1時間程度短くなっています。その主な原因は、夜型になり就寝時間がどんどん遅くなったことです。
夜型の生活には、24時間社会といわれる眠れない社会が影響を与えており、新型コロナの流行にも影響を受け、就寝時間がさらに遅くなる傾向が見られています。子どもの睡眠も同様で、不適切な睡眠は、学習能力の低下や体調不良、ひいては不登校につながり、早期に解決しないと未来にも多大な影響を与えることは明らかです。
そこで、ドラえもんの力を借りて、子どもの睡眠を改善しようというのが本書の試みです。
睡眠医学は歴史が浅く、すべて解明されているわけではなく、最後のブラックボックスで、まだまだわからないのが現状です。 そういった状況ですが睡眠研究者として、できるだけ正しい情報をお伝えし、ご家族で一緒に睡眠の重要性を再認識してほしいという気持ちで監修いたしました。 本書が未来を担う子どもたちの心身の健全な発育に少しでも役立てばと思います。